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yentaリリースまでの軌跡(前編)

2016-02-09

yenta UXジャーニーマップ

2016年1月27日に、完全審査制AIビジネスマッチングアプリyenta(イェンタ)をリリースさせていただきました。

yentaの企画が立ち上がってから、新規事業プロジェクトとしての進め方やプロダクトのUXに対する試行錯誤について、順を追って振り返ってみたいと思います。

書き始めたら長くなりすぎたので、前編・後編に分けて投稿させていただきます。

前編では、企画が立ち上がってから、いくつかのターニングポイントを経て、本格的なプロダクト開発に進むまでのプロセスをまとめてみました。


まずは、yentaの企画を立ち上げた背景から、簡単に。

yentaは、こんな想いから始まりました。

「人間関係に適度なおせっかいをすることで、日本のビジネスシーンをもっと熱いものにしたい」

"yenta"という言葉は、英単語で「おせっかいおばさん」のような意味で、お互いに興味を持った人同士がいるのであれば、「一回くらい会ってみたらどう?」って適度なおせっかいをしてくれる人の価値を、アプリにしてみました。

小中学生時代の甘酸っぱい恋愛を仲介してくれた友達とかがイメージに近いですが、せっかくお互いに興味を持っているのに、そのおせっかいがなかったら一生出会えなかった可能性がある人同士を出会わせてあげることで、人生がポジティブな方向に転がるということを実現したいと思って作っています。


ここからが本題


1. yentaの企画が立ち上がる


アメリカには数多くあるビジネスマッチングアプリ(Professional networking app)や、人間関係を解析するスタートアップのプロダクトアイデアを参考に、yentaという企画を立ち上げた。

海外のプロダクトをただ日本の文化にローカライズするだけではなく、いくつかの秘策を仕込んだで、このプロダクトは面白いし、上手く行けば今までにない価値を生み出すことができるんじゃないか?

と感じて、ワクワクしながら少人数で企画を詰め始めた。



2. 社内の何人かに企画を聞いてもらったらイマイチな反応


企画を詰めてみたプロダクトアイデアを会社のメンバーに伝えてみたところ、「俺は使うイメージがないな」「面白いとは思うけどニーズあるの?」という散々な結果に。

新規事業の企画フェーズには「あるある」な話なので、一回持ち帰って冷静になって考えてみることに。



3. yentaをUXの視点から見つめなおしてみる


社内からのフィードバックを持ち帰り、自分の頭の中のイメージとの差を考えてみる。

ある一定考えてはみたものの、結局性格とか価値観の領域で好き嫌いがあるだけで、十分に試してみる価値はあると判断して、ここからどうやってこのアイデアへの可能性を模索しようかと色々な本や情報をあたっていたら、面白そうな本を発見した。

それが、「Hooked ハマるしかけ」というグロースハックの本。(この本はどのグロースハックの本よりもオススメです。)

Amazonの紹介文で、こんなことが書いてあり、これは今の状況に参考になりそうだ!と思い、すぐ購入。 一晩で読みきって、「これは試してみる価値がある!」と思って、次の日から早速行動に出た。

Facebook、Twitter、Instagram、Pinterestになぜユーザーは「ハマる」のか? なぜこのサービスは注目を集めたのに、あのサービスは失敗したのか? 熱心なファンがつくサービスとそうでないものにある差は何か?

まずは、この本が教えてくれたフレームワークに自分のアイデアを当てはめてみる。

■フック・モデルの4ステップ

トリガー(きっかけ) 人々に行動を取らすための引き金。外的トリガーと内的トリガーの2つがあり、すべてのフックの始まりとなるフェーズ。

アクション(行動) アクションのしやすさと、それを行うための心理的動機の2つを用いて、特定のアクションが発生する可能性を高めるフェーズ。

リワード(報酬) ユーザーを惹きつけるために欲望を生み出させるフェーズ。報酬にはトライブ(集団)、ハント(狩猟)、セルフ(自己)の3つがある。

インベストメント(投資) ユーザーにわずかな仕事をさせて改善を行わせることで、新たなフック・サイクルを作り出す確率を高めるフェーズ。

頭では成功イメージを描けていたアイデアを、フレームワークに当てはめてみると80%くらいは想定通りでうまくいきそうな匂いがしたけど、20%くらいはもう一歩足りないポイントが浮き彫りになった。

いい意味での手応えを感じて、一気にの20%を埋めにかかってみたところ、この20%は思っていたよりは苦労せずに埋める方法が見つかり、一応覚えたてのフックモデルを意識したアプリのモデルが完成した。(この本を読んでいなかったらこの20%の部分には気づくことは出来なかった気がする。)



4. フックモデルに当てはめたモデルをもとに、UX Journey Mapを書いてみる


フックモデルに当てはまる良さそうなモデルが出来たからといって、UXを全て考えられたわけではないので、そのモデルをペルソナが利用した時をイメージして、UX Journey Mapを書きなぐってみた。

yenta UXジャーニーマップ

このマップにはユーザーが何らかの感情の変化が起こるだろうイベントを一つのオブジェクトとして、そのときのユーザーの心理状況をポジティブ、ネガティブに分けて考えうること全てを書き出してある。

このネガティブな感情を最小化し、ポジティブな感情を最大化できる方法を考えることで、ユーザーのトータルの体験が最大化する。



5. コアな機能だけのプロトタイプを作ってみる


ここまでは、どこまでよくできていても机上の空論でしかないので、UXにおいてもっとも重要だと思われるコアな部分だけにフォーカスしてプロトタイプを作ってみた。

最初のプロトタイプはWebアプリとして作り、PCかスマホのブラウザで利用できる状態にした。


↓これがyentaの最初のプロトタイプ

yenta first prototype



6. 社内でテストしてみたら惨敗


実際に社内で試してもらったところ、 「企画だけのときよりはイメージは湧いたし面白いとも思う。でも、やっぱり使うイメージはないかな。」 という反応。

実際にテスト結果のデータを見ても、確かに微妙。 これじゃあフックモデルというレベルよりも前の問題でだめそうだと思った。



7. もう一回UXについて考えてみる


なんとなく諦めきれないモヤモヤがあったので、今一度、初心に帰ってモデルを眺め直してみても、やっぱり可能性はあるんじゃないかという感覚は変わらず、今一度このプロダクトを試してみたいという思いが強くなった。

というより、最後まで試しきれないと意思決定ができないと思ったので、最後までやってみた感じ。

※めちゃくちゃ諦め悪いですよね、、、はい。



8. 外部のユーザーテストを行ってみる


ここで最後の手段を試してみる。

社員全員に、自分の友達でyentaのペルソナに近い人に、コア機能に絞ったプロトタイプを使ってもらうテストへの協力を呼びかけてもらった。

すると200名以上の人がテストに協力してくれることになり、200人一斉にプロトタイプを使ったテストを行ってもらった。



9. ちょっとした手応えを掴む


最後の手段である社外テストを行ってみると、想定外の結果が出た。

結果を見てみると、ある重要指標が社内テストの4倍近い数値になり、データだけじゃなく、ポジティブなフィードバックもたくさん返ってきて、今までにない手応えを掴んだ。



10. ここで社内の空気が変わり始める


「これは思っていた以上にニーズがあったり、使ってくれる可能性のあるプロダクトなんじゃないか?」 と社内やチームメンバーの空気がポジティブな方向に一変した。

ここからyentaを本格的に開発してみようという動きになり、一気にアプリ開発に入る。



11〜. 後編に続く


後編では、アプリ開発に入ってからのUXや開発プロセスについて書きます。


yentaリリースまでの軌跡(後編:プロトタイピング、UX、リリース) - yenta blog

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