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【イベントレポート】CTOパネルディスカッション 〜日本のグローバル化を考える会〜

2017-05-12

日本のグローバル化を考える会

グローバル開発を進める豪華6社のCTOのパネルディスカッション

4/27に開催したyenta主催の「日本のグローバル化を考える会」より、話題のIT企業のCTO、6名によるパネルディスカッションの模様をお届けします。

140人近く集まった大盛況な会場で、グローバル開発(オフショア開発)について、失敗談やうまくやるノウハウなど、会社や立場を越えて惜しみなく披露していただきました。

なぜ、今グローバルリソースに目を向ける必要があるのか、どうしたらうまく活用できるか、非常に価値の高い内容となっています。

グローバル開発について興味や関心のある方はもちろん、現在、オフショア開発をされている企業や事業の開発スピードを上げたい方にとっても必見です。


<目次>

失敗談と改善策
・「QAを入れて品質を向上させる」株式会社ベーシック
・「コミュニケーションロスをなくす工夫」株式会社DMM.com

Tips/うまくやる工夫
・「ペアプログラムとテストファースト」株式会社ユーザベース
・「成功企業へのヒアリングと現地駐在」ランサーズ株式会社

Tips/エンジニアの採用とマネジメント
・「日本に招いて文化やサービスに触れてもらう」JapanTaxi株式会社

Tips/日本との商習慣の違い
・「数ヶ月駐在し商習慣の違いについて毎日プレゼン」テモナ株式会社

グローバルリソースを活用する理由
・「オフショア会社の先進的な技術と蓄積したナレッジ」株式会社ベーシック

各社の今後の展望


■CTO紹介

CTO6人の紹介


■CTOパネルディスカッションスタート

6人のパネルディスカッション

質問:グローバル開発の失敗談

一番の失敗はQA (テストエンジニア)を入れずにラボをスタートしたこと株式会社ベーシック

ベーシック斎藤氏

中野氏
まず初めに、失敗、もしくはやらかしたことというお題で聞いてみたいと思います。最初はベーシックの斎藤さんにお聞きしましょう。

斎藤氏
多分この中で一番ラボをやってるのが長いのはうちじゃないかなと思います。 丸3年ラボをやっていますが、フェーズによっていろいろ失敗はあります。1番目は立ち上げのときで、最初はラボにプログラマを3人アサインしてスタートしたのですが、なかなか立ち上がらないんですよね。コードレビューなどをしながら、そろそろ立ち上がってくれないかなと思っていたら、急に成長するんですね。いいことなのですが、思ったよりも成長のスピードが速くて、プルリクがばんばん飛んでくるようになってしまって、僕一人でレビューするのが大変な状況になってました。その結果、何が起こったかというと、コードの品質やサービスのバグがちょっと多くなってしまうという悪いことが起きてしまいました。そのタイミングで、フランジアにQA (テストエンジニア) がいるというのを初めて知りまして。

中野氏
知らなかったんですか!?フランジアさん、もっとしっかり営業したほうがいいんじゃないんですか笑

斎藤氏
QAを入れてからは、がんがんQAが回す今の新体制ができてきました。というわけで、一番の失敗はQAを入れずにスタートしたことですね。

日本語の分かるQAが鬼のようなテストをしてくれ品質が向上した株式会社ベーシック

ベーシック 斎藤氏

中野氏
QAとのやり取りは日本語ですか?

斎藤氏
日本語ですね。今うちのチームはQAに関しては日本語ができる人という条件でお願いしています。

中野氏
テストの種類はUTなどいろいろありますよね。単体なのか結合なのか、というような。

斎藤氏
単体に関して言うと全部テストコードでやっているので、どちらかというと結合のほうですね。実際は振る舞いのテストをQAにやってもらうという形で、今うちのチームには日本語が分かるとても優秀なQAのリーダーがアサインされているので、ハイコンテキストな感じで、具体的なことは教えないで思うままにテストしてもらう形でやる場合が多いですね。

中野氏
そのほうがやりやすいですよね。

斎藤氏
大分やりやすいです。

中野氏
SIerでテスト仕様書と言ったら書くのが当たり前というような世界からスタートしますが、Excelのエビデンスキャプチャー何回撮れば俺は帰れるんだ?っていうような世界ですよね。

斎藤氏
そんなのも全部QAのリーダーがやってくれているのですごく楽ですね。

中野氏
うらやましいですね。

斎藤氏
その代わり、もう本当に鬼のようなテストをしますね。

中野氏
鬼のような(笑)

斎藤氏
テキストフィールドに5000文字ぐらい入力してきてサイトから表示が崩れてくるって。そりゃ崩れますよ、そんなの想定してないから。そういう鬼のようなテストをやってくれるので、今だいぶ品質は上がってきています。

中野氏
いいですね。斎藤さんのMっぷりを表していますね。ありがとうございます。

きちんと伝えなければコミュニケーションロスが発生する株式会社DMM.com

DMM.com 城倉氏

中野氏
では次はDMMの城倉さん。城倉さんのところは本当にグローバル化というか、社員がすごく幅広いですよね。

城倉氏
そうですね。事業はアフリカでやっているのでアフリカ人も多いですし、エンジニアも結構新卒含めて採っていますが、みんな日本語すごくうまいです。

中野氏
えっ?日本語なんですか?

城倉氏
はい。日本人より日本語がうまいです。 亀山が英語しゃべれないので日本語がしゃべれる外国人をたくさん採れという指令が下りてきていまして。

中野氏
採用基準が楽なやつですね。採用や組織設計上の話とかで、やらかしてしまったことはありますか。

城倉氏
うちはフィリピンとベトナムでオフショアをやっていて、多分あるあるだと思いますが、コミュニケーションロスですかね。細かいものが多くて数えているとキリがないのですが、DMM.Okan(おかん) という家事代行サービスをやっていまして、それをフランジアさんのベトナム拠点で開発させていただきました。そのときの話で、オカン(家事代行する人)とお客さんがマッチングした後に質問を投げられる機能がありまして、元々は質問して回答してもらって終わり、という仕様のはずが、多分こちらの出し方も良くなかったんだと思いますが、LINEのようなチャットのようなものができてきて、オカンとチャットで会話できてしまうっていう。

中野氏
オカンというのはスタッフの方ですね。

城倉氏
そうです。オカンというのは家事代行するスタッフの方です。オカンとのチャット機能ができてきて、日本のスタッフが受け取ってから、ううん、困ったな、というようなことがあったようです。細かいことを言うとたくさんあるのですが、やはりコミュニケーションロスは解決していかなければいけないと思っています。ただよく文化的な違いで認識が違うところがあるという話を聞きますが、そこは全くありませんでしたね。

また技術力は確かなので、きちんと伝えられればきちんと正確なアウトプットをしてきます。なので図で説明したり、コードレビューをしてこちらの意図したものができているか確認をする、ちょっと振り返りをやるといったことで解決はされてきましたが、ちょっとこれは永遠についてくるのかなという感じでした。

質問:グローバル開発(オフショア開発)のTips/うまくやる工夫

ペアプログラムで人が抜けても誰かが仕様を知っている状態をつくる株式会社ユーザベース

ユーザベース 宮内氏

中野氏
次は、来場者からうまくやるTipsがあったら教えてほしいという質問がありましたので、ぜひ聞きたいと思います。開発の工夫、これはどうでしょうか。ではユーザベースの宮内さんお願いします。

宮内氏
開発の工夫ですね。失敗というのは多分よくある話で、私が心配していたのは、品質とチームに入ってくれた人がすぐ抜けないかなと、という点でした。ユーザベースではアジャイルで開発してますので、オフショアでもそれをそのまま実現できたらなと思っています。工夫したことは、人が抜けてもせっかく覚えてもらったことがチームからなくなってしまわないようにペアプログラム(ペアでプログラミング)してもらっています。いつも2人でやっていてさらにペアをスイッチしたりもしていますので、人が抜けても、誰かが仕様を知っている状態がつくれます。これはうまくいったなというところですね。

2つ目は品質の部分ですね。ペアプログラミングはインスタントレビューですので、品質UPにも役立っています。もう一つやったのは、データをインテグレーションするという仕事をはじめに結構やってまして、その中でテストを先に書く、テストファーストで作るということをやりました。ペアプログラミングをやったことがないと結構窮屈で「私たちには合いません」というふうに言われるのですが、ペアで一人がテストコードを書いてもう一人がプロダクションコードを書くと、結構すんなりといきます。初めはちょっとなじまなかったのですが、時間とともに慣れていって、品質問題と人が抜ける問題は対処できたのかなと思っています。

中野氏
ありがとうございます。ちなみに、この会場でペアプロをやられている方いますか? ……いないですよね。 ペアプロというのは結構レベル高いなと思います。うちもGitHubなどでは日本語や英語でやり取りするよりはソースで会話したほうが早いというのがあるのですが、ペアプロは何かオンラインエディターなどでやっていらっしゃる?

宮内氏
基本的にはフランジアさんの所に大体10人ぐらいのエンジニアがいて、彼らにペアでやってもらっています。私たちのメンバーがハノイに行って新しいプロジェクトするときには一緒にペアでプログラミングするという形ですね。

初めはコミットラインを置かず、時間に追われず品質だけを追求株式会社ユーザベース

ユーザベース 宮内さん

中野氏
やはり難易度は高いなと思いますが、これはやっておいて正解だったなという感じですか。

宮内氏
そうですね。一番初めは2人ぐらいからスタートして、それが馴染んできて人が少し増えてという形で、急ぎませんでした。ゆっくりと確実にできるというやり方でやっていました。

中野氏
特にコミットライン、マイルストーンなどは置かないで、取りあえず何か小さいものから作ってみようという感じですか。

宮内氏
そうですね。コミットラインなどが初めにあるとどうしても時間に追われるので、初めは時間に追われず品質だけを追求する。その後で時間をくっつけてきたという、そんなやり方をしました。

中野氏
日本以外の海外でのパイロットのスタイルみたいな文化も、向こうで初めてつくって、それを徐々に浸透させるような広げ方をしたということですか。

宮内氏
そうですね。もともと私たちユーザベースは結構ペアプログラミングをやっているので、それを少しずつ向こうで浸透させて、少しずつ広げていきました。

オフショアで成功している企業にコツや失敗例をヒアリングしたうえで、エース級エンジニアをベトナムに送り込んだランサーズ株式会社

ランサーズ 横井氏

中野氏
あとはどうですかね。リモートワークといえば、横井さん。きょうは皆さん、来場されてる方も含めて、ランサーズがオフショアを使う、併用するというのはなかなかレベル高いなというところ、そこの決断に至った理由も含めてちょっと聞きたいのですが、何かコツとかあるのですか。

横井氏
もともと僕らはクラウドソーシングというところでやらせてもらっていて、僕ら自体のサービスはランサーズを通して日本全国の方々に依頼するというところは文化としてちょっとやっていたというのがまず前提にありました。ただ僕ら的に「日本国民総フリーランス化計画」みたいなことをやりたかったわけではなく、いろいろな人がいろいろな働き方を選べるっていう世界をイメージしています。それと同様にエンジニアチームとしても、業務形態や契約形態ではなくて、能力や合う合わないかで決めていきたいなって思っていました。だからオフショアかどうかというのはあまり区別はありませんでしたね。

うまくいくやり方は、僕らが始めたのが2016年の10月で、後発勢だったので、ひたすらヒアリングをかけました。それこそDMMさんやユーザベースさんなどにいろいろに、コツは何なのか、どうやったら失敗するのかというような話をたくさん聞かせてもらいました。そこを生かして最初からメインのエースエンジニアとエースPMをベトナムに送り込んで、1~2カ月過ごさせて、最初のチームビルディングに全力を注ぎ込めたのは、結構いい出だしだったかなと思います。

中野氏
送り込んだ理由の一つに、先ほどのオフショアネガティブのような考え方や社内の反対というのはなかったのでしょうか。

横井氏
そこへの偏見は、やはりもともと僕ら自身がそういった場所を離れてやるということに対して偏見がなかったので、なかったです。むしろ「おお」「いいじゃん」といった感じの声が多かったですね。

中野氏
もうこれだけはやっておけと言ったら、誰か決定権やそれなりのテクニックを持っている人を送り込んで現地に混ぜてしまうのが一番いいかなという感じですか。

横井氏
そうですね。やはりあっちのチームに俺らが本気だぞというような感じでやって一緒にやってこうというのが、まだまだ僕らは成功かどうか分かりませんが、うまくいっている要因かなと思います。

送り込む人に必要な条件 ①技術力がある ②本気度を示せる ③酒に強い株式会社ベーシック

ベーシック 斎藤氏

中野氏
ありがとうございます。何かベトナムや東南アジアなどに行くと結構酒飲むやつ多いですね。あれは何なんですかね。どこの国行ってもそうなのですが、「お前を倒す」と言われて僕の前に酒を持ったやつが延々と、大縄跳びみたいな状態でぐるぐる、ぐるぐる。

斎藤氏
多分それフランジアさんだけだと思いますよ(笑)

中野氏
フランジアだけなんですかね。

斎藤氏
ウォッカとショットグラス持ったやつらが延々列をつくって、ずっと乾杯し続ける。

中野氏
だから送り込む人間も、テクニックがあって本気が見せられる人と、あと酒が強い人という条件がないと駄目ですね。ありがとうございます。

質問:グローバル開発(オフショア開発)のTips/エンジニアの採用とマネジメント

オフショアはテストコードをきちんと書けるかで品質が変わるJapan Taxi株式会社

JapanTaxi 岩田氏

中野氏
では、これまたちょっと難しいお題で、ご来場いただいている方からの質問で、エンジニアのスキルセットの評価や品質の評価の定量化、またどんな人を採用するか、その採用するに至ったマネジメントの手法というようなところも含めて聞きたいというのが、いただいた質問の中の2割3割ぐらいありました。これは採用に関しては絶対聞きたいなと思っていたJapanTaxiの岩田さん、お願いします。 日本交通って結構レガシーな、トラディショナルな環境だと思うのですが、その辺何かエンジニアの採用や岩田さんの振る舞いで、オフショアを含めて海外のグローバルなエンジニアと一緒にやっていくうえで何かTipsはありますか。

岩田氏
オフショアに限っては、やはりテストコードをきちっと書ける人というのを一番重視しています。そこができるかできないかでコードの品質、そこまで意識がいっているのかどうかが分かってくるというのは一つありますね。

中野氏
もともとJapanTaxiのエンジニアにはどういうメンバーがいたのでしょうか?

岩田氏
もともとは日本交通系の開発をやっていた10名ぐらいの会社がありまして、2015年8月にJapanTaxiと名前を変えて、その2カ月後ぐらいに自分がジョインし、今までにエンジニアを40名ぐらい採用しています。

中野氏
40人ですよ。皆さん聞きました? すごいですね。

岩田氏
ほぼ採用ばかりやっていて、トータルとして思うのは、スキルももちろん大事ですが、やはり人間性といいますか、スキルよりウィルと言っているのですが、このレガシーなタクシー業界を改革したい、ITでやり遂げたいというような、そういう意思を持った人間を最近はより重視して採るようにしていますね。

ベトナムのエンジニアを日本に招き、サービスや文化に触れてもらったJapan Taxi株式会社

JapanTaxi 岩田氏

中野氏
なるほど。ちなみにタクシーの運転をされている方のITリテラシーはそんなに高くないのではないかと思うのですが、どうですか。

岩田氏
そうですね。ちょっとおじいちゃんみたいな感じの人も結構いますのでITリテラシー的にはかなり低めになります。文字は大きく、みたいな。

中野氏
その開発は日本でやるのですか?

岩田氏
今オフショアの、フランジアさんのほうでも10名ほどエンジニアがいまして、乗務員さんが使うアプリケーションなどをやっています。ベトナムは、交通事情が本当にすごい。バイクとか……。

中野氏
すごいですよね。皆さん、想像つきますか? 

岩田氏
そうなんですよね。文化や環境が違う状態で作っていただいていると、やはり日本の交通事情と全く違うので、一度、ベトナムのエンジニアに日本に来てもらって日本交通のタクシーに乗せたり、京都などに連れていって、タクシーや日本の文化に触れてもらいました。それ以降はやはり感覚というか意識が変わってきていますね。

中野氏
なるほど。日本はガラパゴスと言われますが、商習慣を含めてだいぶ違うことがあるので、海外にプロダクト開発持っていったときにやはり日本の理解みたいなところは難しい。やはり直接連れてきたり、開発以外のところ、文化の教育みたいなところをすごく重要視されているということですよね。

岩田氏
そういうことですね。

中野氏
予算的にもちゃんと連れてきてOKと言ったわけですよね?

川鍋(JapanTaxi CEO)氏
いや、勝手にやっている。

中野氏
勝手に! いい会社ですね。

岩田氏
本当に。勝手に決めてやっています。

中野氏
すばらしい。文化を醸成するためにエンジニアを日本に連れてくる予算をとろうというのは、なかなか難しい。岩田さん本当にすごいと思います。

質問:グローバル開発(オフショア開発)のTips/日本との商習慣の違い

数ヶ月ベトナムに滞在し、日本の商習慣について毎日プレゼンしたテモナ株式会社

テモナ 中野氏

中野氏
ほかに、評価やスキルについて何か言ってやろうということはありますか。

斎藤氏
質のところで、中野さんにお聞きしたいのが、たまごリピートは決済が入る部分ですよね。クライアント数もたくさんいて、それをベトナムでやられたじゃないですか。その決断がものすごいなと思うのですが、品質をどうやって担保したのかなというのがすごく気になっていまして。

中野氏
ありがとうございます。まさか自分が質問されるとは。品質レベルに対してというのは日本と変わりませんが、エンジニアも含めてマネジメントは結構ドライなんですよね。無機質で仕組みで回せるところは徹底的に再現性の高い仕組み化を引くというスタイルなので、そこはもう日本とベトナム同じ基準でやっていますね。

具体的には、単体やUTと言われるようなところでC0とかC1とかいろいろあるのですが、そういう網羅系の単体で言うと変わり値はやはり85や90ぐらいがデフォルトで、決済の部分はもう本当にみっちりやるという感じですね。それがリトライ処理であるとか、それ以外の例外の部分で起きたときに、では失敗したらどうなるというのは結構やっています。

斎藤氏
決済といってもベトナムの決済と日本の決済とまた違いますよね。

中野氏
全然違いますね。

斎藤氏
その商習慣などは、多分ベトナムのエンジニアって分からないと思うのですよね。

中野氏
分からないですね。

斎藤氏
そういう意味ではブリッジSEが相当センスが良くないと、日本の商習慣ってこういうものなんだというのが分かっていないと、ちょっと何か期待したものにならないのではないかなと思うのですが、その辺どうですか。

中野氏
僕もやはり2カ月、3カ月ぐらい向こうに行きまして、日本のビジネスはこういうものだというビジネスだけを説明するプレゼンを毎日やりました。ちなみに、一番海外に行って伝わらなかったキーワードは「引当」です。在庫の引当。何それって。これは仮の引当なんだよと言っても「あるかないかは買わないと分からないだろう」というような、それをずっと延々とやり取りする。そういう何か日本のおもてなし文化というか、そういった細かい部分はやはり海外にない世界があったりするので、日本人のマインドとしてすごく大事にしているというか気にしている部分というのはやはり率先して言ってあげるというのが大事かなと思います。ただフランジアに関してはやはり経営者が日本人なので、それはもう既に教育されていることが前提でお願いできるので、それはだいぶ安心できたかなという感じですね。

質問:グローバル開発(オフショア開発)を活用する理由

先進的な技術やナレッジが蓄積している会社のリソースを使わない手はないテモナ株式会社

テモナ 中野氏

斎藤氏
ただスキルというのがあるので、フランジアに限った話なのかもしれませんが、ここ見ても分かるとおり、結構日本のスタートアップだったり、割りと先進的なことやりそうな会社がことごとくフランジアでオフショアやっていますよね。

中野氏
確かに。

斎藤氏
ですよね。ベトナムに行くと、今日登壇している会社だけではなくて本当によく知っている会社のラボがたくさんあったりします。それだけ本当にいろいろな技術を彼らは学んでいるから、ナレッジがとんでもないですよね。だからReactやりたいAngularやりたいというときに、フランジア側のほうでナレッジがあるから、すぐそれをできる感じがあって、ずるいなと最初思ったんですよ。

中野氏
数の暴力のところがちょっとありますよね。

斎藤氏
本当ですよ。技術がどんどんたまっていって、これずるいなと。だから逆に、もうそれ使わない手はないなと思います。何か新しいことをやるといったときに、まずフランジアに聞いて「できる人いない?」というように最初やり始めて。中野さんとかもそういうふうにやっていますか?

中野氏
そうですね。日本とベトナムの空いているリソースで技術トライさせて、枯れて使えそうだなとなったらプロダクションを持ってくるというような感じですね。フランジアの中でたまっているTipsは本当に使ったほうがいいです。

斎藤氏
そうですよね。

中野氏
はい。下手をしたら日本で中途採用するよりよほどあっちのリソースで「知ってるやついる?」と聞いたほうがめちゃめちゃ早い。この辺はちょっと有効活用したいと思いますね。逆に何かベーシックさんの中で尖ったエンジニアがいると、たまに移籍してもらってうちのチームにぜひ貸していただければと(笑)

斎藤氏
そういうのありかもしれない。

質問:グローバル開発(オフショア開発)の今後の展望

言語のコミュニケーションの無駄がない世の中にしていきたいランサーズ株式会社

ランサーズ 横井氏

中野氏
では、ちょっとここ真面目な話も交えて締めのモードにいきたいのですが、将来こうしてやりたいというところがあればぜひお話ください。横井さん。

横井氏
僕ら10月からオフショア開発をベトナムにお願いしているんですけど、むしろそれよりも、そのタイミングで、何の因果かチェコ人のエンジニアを雇ったのですが、全く日本語がしゃべれなくて。実はよく聞いてみたら英語もよく分かってなかった。

中野氏
それ気づきましょうよ(笑)

横井氏
その辺りから、でもエンジニアのチームで何とかそいつを迎え入れてあげたい、みんなで英語を頑張っていこうと自発的にみんな英語でやっていて、その辺でやはり言語のコミュニケーションは無駄じゃないですか。だからそういうのがないような世の中というのを、僕ら自身もオフショアも含めて、開発体制を率先してつくっていければなというのは結構思っています。頑張っていきます。

エンジニアを積極採用し、タクシーに限らず移動に関して様々なテクノロジーを活用していきたいJapanTaxi株式会社

中野氏
ありがとうございます。ぜひ拍手をお願いします。では岩田さんお願いします。

岩田氏
JapanTaxiという社名からも、まずは次の新しいタクシー業界の業態というのをJapanTaxiが導いていければいいかなというのは思っていまして、うちのビジョンとして「移動で人を幸せに」というのがありまして、タクシーに限らず、移動に関していろいろなテクノロジーを利用して、もっと良くしていきたいなと思っています。

中野氏
ありがとうございます。ジョイントベンチャーでやられているモニターのやつ、すごいですよね。どう考えてもやはりあれは見てしまいますね。酔っ払ってタクシーに乗っても目の前にあって広告が流れると絶対見るなと思います。あれはすごいビジネスモデルだと思います。今、エンジニア募集中なんですよね?

岩田氏
はい。あと100人ぐらい募集していますので。

中野氏
すさまじいですね。100人ぐらいエンジニア採用してやろうと。この中からもしかしたら生まれるかもしれない。

川鍋(JapanTaxi CEO)氏
200人!

中野氏
200人ぐらいだそうです。大変ですね(笑) では城倉さんお願いします。

国内のマーケットが縮小し、海外勢にシェアを奪われているのでグローバルに打ってでたい株式会社DMM.com

DMM.com 城倉氏

城倉氏
将来、DMMもグローバル化を進めていて、先ほどお話もありましたが、やはりマーケットが今小さくなっているので海外行かないとっていうのが一つと、あと逆に今インターネットで広がるので海外からも来てしまうんですよね。先ほどのアプリの話ではありませんが、我々のスマートフォンにインストールされているアプリでも、海外のアプリのシェア率のほうが高いという。我々が行かないと向こうからも来ますので、そういう意味でグローバルに打って出たい。その中だと結構エンジニアにシャイなので、分かっているけどなかなか出ていけない人が多いはずなので、環境をつくってどんどんグローバルなエンジニアの触れ合う機会をこれからもっと提供していきたいなと思っています。しかも、各プログラミング言語って共通言語なので、アジア全圏、それから北米も含めて、エンジニアのコミュニティができるといいなと考えています。

中野 でも本当に、日本に来て働きたいと思っている外国人っていっぱいいますよね。

城倉氏
そうですよね。ただそういう人は結構日本語うまいんですよ。なのでコミュニケーションに困らなくて、本当はオフショアのようにベトナム、フィリピンに行って現地の方とコミュニケーションするほうが多分グローバル力は上がると思います。

中野 ありがとうございます。城倉さんもTipsいっぱいあるようですので、この後ぜひ歓談のときに絡んでいただければと思います。では斎藤さん。

日本で採用できないトップオブトップの人材をアジアで採用し会社のミッションを成し遂げたい株式会社ベーシック

斎藤氏
はい。うちは会社のミッションとして「Webマーケティングの大衆化」というのを掲げているので、それをやるためにやはり優秀な人材が欲しいですよね。最近、実際にグローバル人材をベトナムのハノイ工科大学の人材などで採用していって分かることなのですが、このトップオブトップというのはどこの国も変わらないんだなと。特にフランジアさんなどは本気で天才を世界中に探しに行っているというのがあって、その動きは正しいなと思うんですよね。なので、そういった意味では、日本だとトップオブトップを採用しようと思ってもできませんが、アジアならまだまだ採用できるので、優秀な人材を採りに行って会社のミッションを成し遂げるというところやりたいと思っています。

中野氏
なるほど。ありがとうございます。でも本当に、ベトナムのメンバーは日本語覚えるの速くないですか。

斎藤氏
めちゃめちゃ速いですね。

「経済情報で世界を変える」という理念を実現するために組織を多様化し、海外の売り上げ品質を上げていきたい株式会社ユーザベース

中野氏
宮内さん、よろしくお願いします。

宮内氏
ユーザベースは「経済情報で世界を変える」を理念にやっていますが、その中でもテクノロジーが果たす役割がすごく大きい。今エンジニアのチームは東京を中心にやっています。海外の売り上げ品質をもっとぐっと上げていく。本当に世界を変えていくというなかでいろいろな人たちが私たちのプロダクトのチームに入ってくれるような、そういった取り組みをしていきたいなというふうに思っています。

海外のマネジメントやTipsを会社や立場を越えて共有し元気である日本にしていきたいテモナ株式会社

中野氏
ありがとうございます。ちょっと自分が最後にお話したいなと思います。テモナも本当にいろいろなことにどんどんチャレンジしていきますが、やはり「ビジネスと暮らしをてもなくする」というのが僕らの理念なのでそこは徹底的にやりたいというところはあります。それで、自分が個人的に思っているのは、やはり日本の人口減少も含めて結構深刻じゃないですか。みんな結構楽観的だなと思っていて、もっと日本の企業が外国人を雇用して、組織を多様化していき、僕らがマネジメントからしてもしっかり許容する文化とをつくっていければいいのではないかと思っています。

あとは海外から外貨を稼がないとやはり日本のGDP含めて弱体化が半端ないなと思っているので、率先的にそういう海外系のマネジメントやビジネスのようなTips、ここのメンバーも含めて結構たまっているので、そういうのを皆さんにシェアさせていただきながら、会社や立場みたいなものが全く関係ない世界で共有させていただいて、強い日本というか元気である日本というのをしっかりやっていきたいなと思っています。

では、今日は皆さん、本当にありがとうございました。

引続き、yentaをよろしくお願いします!!

yenta